NISA口座を開いたことと、NISAで実際に買付を始めたことは同じではありません。口座開設のニュースや買付額の伸びだけを見ていると、この差は見落とされがちです。
野村アセットマネジメント資産運用研究所は、NISA口座を持ちながら買付に至っていない層に注目したレポートを公開しました。金融庁の2024年12月末データをもとに、2024年中の買付額が0円だった口座は38%と整理されています。
この数字は「すぐ買うべき」という合図ではありません。むしろ、口座を開いた後に何で止まるのか、初回買付までに何を確認すべきかを考える入口です。
38%が買付0円という数字は何を示すか

野村AMのレポートは、NISAの口座数と買付額が増えている一方で、口座を保有しながら買付へ進んでいない人が一定数いると指摘しています。2024年中の買付額0円が38%という数字は、新NISA初年度に「制度には接点を持ったが、実際の買付はしていない」層が大きかったことを示します。
同時に、ここは慎重に読む必要があります。買付0円の人には、旧NISAで残高があるが2024年は買わなかった人、購入タイミングを見ている人、金融機関変更の途中だった人、そもそも口座を開いたまま忘れている人などが混ざる可能性があります。
つまり、38%という数字だけで「投資に消極的」と決めつけるのは雑です。見るべきなのは、口座開設と初回買付の間にある作業です。どの金融機関に口座があるか、生活資金はいくら残すか、毎月いくらなら続けられるか、何を買うか。ここが曖昧なままだと、口座だけが残ります。
未購入者は一枚岩ではない

野村AMの意識調査では、NISA利用者7,738人の内訳として、2024年の購入額が0円だった「未購入者・投資家」が16%、「未購入者・非投資家」が7%、合計23%とされています。
この分け方が重要です。投資経験があるのにNISAで買っていない人と、投資経験そのものが薄くて買っていない人では、止まっている理由が違います。
レポートでは、未購入者・投資家は60代以上が多く、未購入者・非投資家は20代の比率が相対的に高いと整理されています。前者は、すでに別口座や別の商品で運用していて、NISAへどう移すかを決められていない可能性があります。後者は、口座は作ったものの、投資を自分ごととして始める納得感が足りない可能性があります。
また、未購入者では、NISA口座を保有している金融機関が分からない人の割合も購入者より高いとされています。これは地味ですが大きなポイントです。どこに口座があるか分からなければ、積立設定も商品確認も始まりません。
個人投資家が次に確認する3つのこと

NISA口座を持っているが買付していない人は、投資を急ぐ前に3つだけ確認すると整理しやすくなります。
1つ目は、NISA口座の金融機関です。証券会社、銀行、対面型金融機関のどこに口座があるのか。ログインできるのか。過去に金融機関変更を申し込んでいないか。ここが分からないまま商品を調べても、次の行動に進みにくくなります。
2つ目は、生活資金と積立額です。NISAは非課税制度であって、値下がりしない仕組みではありません。生活費、急な出費、近い将来使うお金を分けたうえで、毎月いくらなら続けられるかを決める必要があります。
3つ目は、買う前に見る情報の順番です。金融庁のNISA特設サイトで制度の基本を確認し、金融機関の画面で対象商品と手数料を確認し、必要なら日本証券業協会などの調査で利用動向を見ます。人気ランキングやSNSの銘柄名から入ると、自分の目的より先に商品名が決まってしまいます。
NISA未稼働層の問題は、買っていない人を責める話ではありません。口座開設から初回買付までの間に、金融機関の確認、生活資金の切り分け、商品選びの納得感という小さな段差があるという話です。個人投資家にとっては、この段差を一つずつ確認するほうが、焦って買うより実務的です。
NISAで何かを買う前に、長期投資や積立の考え方を自分の言葉で整理しておくと、人気商品や短期相場に流されにくくなります。
当サイトはAmazonアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。
あわせて読みたい
出典・参考リンク
- 野村アセットマネジメント資産運用研究所 NISA未稼働層に見る課題
- 同PDFレポート
- 金融庁 NISA口座の利用状況に関する調査結果
- 金融庁 NISA特設サイト 利用状況調査
- 日本証券業協会 新NISA開始後の利用動向に関する調査
※本記事は情報整理を目的としたもので、特定の金融商品や買付タイミングを推奨するものではありません。



