NISA口座でETFを持っていると、「上場廃止予定」や「繰上償還」という言葉だけで判断したくなります。けれど、2851 iシェアーズ MSCI ジャパンSRI ETFで先に分けたいのは、値動きの予想ではなく、8月9日の基準日、11月20日の最終売買日、信託終了後に償還金を受け取る場合の扱いです。
先に分ける論点
2851は2026年7月24日から監理銘柄(確認中)に指定されています。議案が承認された場合の予定日程と、NISA口座で市場売却する場合と償還金を受け取る場合の違いを分けて読む必要があります。
2851で何が起きているのか

2851は、iシェアーズ MSCI ジャパンSRI ETFです。東京証券取引所は2026年7月24日から同ETFを監理銘柄(確認中)に指定しました。理由は、管理会社が信託期間を2026年11月25日までとする約款変更の決定を発表し、承認されれば上場廃止となるおそれがあるためです。
まだ「上場廃止が確定」ではない
ここで読み違えやすいのは、監理銘柄指定と上場廃止確定を同じものとして扱うことです。現時点では、2026年10月20日に予定されている書面決議で議案が承認された場合に、2026年11月21日上場廃止、2026年11月25日信託終了となる予定です。
残高と口数が背景にある
開示資料では、2026年6月末時点の純資産総額が1,479,275,036円、受益権口数が3,754,032口とされています。信託約款には、信託契約締結日から3年を経過した日以降に受益権口数が1,500万口を下回る場合、信託契約を終了できる旨があると説明されています。
8月9日基準日は売買期限ではない

8月9日は、書面決議対象受益者の確定基準日です。つまり、その日現在の受益者名簿上の受益者が、書面決議で議決権を行使できる対象になります。市場で売買できる最終日そのものではありません。
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| 日程 | 予定されていること | 読み方 |
|---|---|---|
| 2026年7月24日 | 監理銘柄(確認中)指定 | 上場廃止のおそれがある状態 |
| 2026年8月9日 | 書面決議対象受益者の確定基準日 | 議決権の対象を決める日 |
| 2026年9月14日 | 書面決議書類発送予定 | 手続き案内が届く予定 |
| 2026年10月19日 | 議決権行使期限 | 書面決議前の期限 |
| 2026年10月20日 | 書面決議日 | 可決なら次の日程へ進む |
| 2026年11月20日 | 東証での最終売買日予定 | 市場で売買できる最終予定日 |
| 2026年11月25日 | 信託終了日予定 | 償還金額の権利確定日 |
| 2026年12月30日 | 償還金支払開始予定 | 受取方法に応じて支払い |
最終売買日と信託終了日は別
可決された場合、東京証券取引所での最終売買日は2026年11月20日、上場廃止日は11月21日、信託終了日は11月25日の予定です。市場で売るか、信託終了まで保有して償還金を受け取るかで、日付も処理も変わります。
注意点
8月9日は「市場で売れなくなる日」ではありません。議決権の対象を決める基準日であり、最終売買日予定は2026年11月20日です。日付の意味を取り違えると、口座処理や税務の見方もずれます。
NISAで保有している人が読み違えやすい点

公式開示で特に目を引くのは、NISA口座で保有したまま償還金を受け取る場合の扱いです。開示資料では、国内の個人受益者がNISA口座で本ETFを保有し、償還金受領時に譲渡益が発生する場合、その譲渡益についてはNISAの適用を受けることができず、確定申告が必要と説明されています。
市場売却なら扱いが変わる
同じ資料では、信託終了日まで保有するのではなく、東証の最終売買日である2026年11月20日までに証券会社を通じて市場で売却する場合、NISAの適用を受けることができるとも説明されています。ここが、NISA保有者にとって最も分かれやすい点です。
非課税枠の話だけでは終わらない
NISA対象のETFだったとしても、信託終了で償還金を受け取る処理と、市場で売却する処理は同じではありません。価格がどう動くかを先に考える前に、自分の口座で「市場売却」「償還金受領」のどちらがどう扱われるかを証券会社に聞ける状態にしておく必要があります。
課税口座と買取請求で分かれる処理
開示資料は、特定口座で本ETFを保有し、償還金受領時に譲渡損益が発生する場合の扱いにも触れています。特定口座内で他の譲渡所得等との損益通算はできない一方、個別に確定申告をして損益通算を行うことは可能とされています。
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| 保有・処理のケース | 主な分かれ道 | 公式資料で注意されていること |
|---|---|---|
| NISAで市場売却 | 最終売買日までに市場で売る | NISAの適用を受けることができると説明 |
| NISAで償還金受領 | 信託終了まで保有 | 譲渡益が出る場合、NISA適用外で確定申告が必要 |
| 特定口座で償還金受領 | 償還金を受け取る | 特定口座内で他の譲渡所得等と損益通算できない |
| 反対受益者の買取請求 | 2026年10月21日〜11月9日予定 | 対象は8月9日現在の保有分のうち買取請求時点で保有する分 |
買取請求は全員の義務ではない
書面決議に反対した受益者には、可決された場合に買取請求期間が予定されています。ただし、開示資料では、反対した受益者が必ず買取請求をしなければならないものではなく、最終売買日までは東証での売買が可能とされています。ここも「反対したら必ず買取請求」と短絡しない方がよい点です。
ケース別に次の行動を分ける
2851を持っている人は、まず自分がどの口座で保有しているかを分けます。次に、議決権行使、最終売買日までの市場売却、信託終了までの保有、買取請求という選択肢が、どの条件で関係するかを分けます。
NISA保有者
NISA口座で持っている人は、償還金受領時の譲渡益がNISA適用外になるという注意点を最初に読む必要があります。売買を急ぐという意味ではなく、最終売買日までに市場で売る場合と、償還金を受け取る場合の違いを証券会社に確認するためです。
課税口座の保有者
特定口座や一般口座で持っている人は、償還金を受け取ったときの譲渡損益が、口座内でどう処理されるかを確認します。損益通算や確定申告は個別事情で変わるため、税務の詳細は証券会社や税務専門家へ確認する領域です。
これから買う人
監理銘柄に指定されたETFを新たに買う場合は、通常の指数連動ETFと同じ感覚で見ない方がよいです。議案可決なら最終売買日、上場廃止日、信託終了日が近づきます。流動性、価格と基準価額の差、手続き日程を理解せずに短期の値動きだけを見ると、思っていた出口と違う処理になる可能性があります。
2851の論点は、「上がるか下がるか」ではなく、ETFが繰上償還へ進むときに口座種別と日程で何が分かれるかです。8月9日は入口、11月20日は市場売買の出口予定、11月25日は信託終了予定日です。この3つの日付を分けるだけでも、慌てて判断するリスクは下げられます。
この記事は売買や税務判断を勧めるものではありません。公式開示をもとに、日程と口座処理の読み違えやすい点を整理したものです。


