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iDeCoはなぜNISAほど増えないのか。400万対2800万で分ける手続きと元本確保型

iDeCo約400万とNISA2800万超の差を制度と手続きで分ける金融記事イメージ

NISAの口座は2,800万を超えた一方で、iDeCoの加入者はおよそ400万です。この差は、単に「人気があるかないか」では片づきません。NISAは使いやすい非課税口座として広がり、iDeCoは老後資金を積み立てる制度として税制メリットを持つ代わりに、引き出し制限、手続き、商品選択の壁が残ります。

先に分ける論点
400万対2800万は、同じ資産形成でも入口が違う制度の差です。iDeCoを見るときは、加入者数の少なさだけでなく、手続き、資金拘束、元本確保型だけで止まるリスクを分ける必要があります。

⚖️ iDeCo(400万人) vs NISA(2,800万人) 制度比較要約表

比較軸 iDeCo(個人型確定拠出年金) 新NISA(少額投資非課税制度)
参加者数目安 約400万人(慎重派・節税重視) 約2,800万人(急拡大中)
節税メリット 掛金が全額所得控除(即効性の節税) 運用益・配当金が非課税(所得控除は無し)
資金流動性 60歳まで原則引き出し不可 いつでも売却・引き出し可能
商品ラインナップ 元本確保型(定期預金等)も選択可 投信・株式などの運用商品中心

400万対2800万は何の差か

NISA口座数とiDeCo加入者数を比較する金融デスクのイメージ
NISA口座数とiDeCo加入者数は、制度目的が違う数字として分けて読む。

金融庁のプログレスレポート2026は、DCをNISAと並ぶ重要な資産形成ツールと位置づけたうえで、iDeCo加入者数は約400万、NISA口座開設者数は2,800万以上で、iDeCoはNISAの7分の1以下だと整理しています。

NISAは口座数と買付額が大きい

金融庁のNISA利用状況調査では、2025年12月末時点のNISA口座数は28,206,434口座です。2014年から2025年中の買付額の合計は7,138,469,497万円で、成長投資枠とつみたて投資枠の両方を含みます。

数字だけを見れば、NISAはすでに大きな制度です。ただし、口座数は「投資を深く使っている人数」と同じではありません。口座を作っただけの人や、少額で止まっている人も含まれます。

iDeCoは加入者で見る数字

iDeCo公式の2026年5月概況では、5月末の加入者は3,980,337人です。2026年5月の新規加入者は38,727人で、前年同月比133.9%でした。伸びていないわけではありませんが、制度の広がり方はNISAよりかなりゆっくりです。

ここで大事なのは、NISA口座数とiDeCo加入者数をそのまま優劣にしないことです。NISAは流動性が高く、iDeCoは老後資金として原則長く引き出せない。目的が違うので、増え方にも差が出ます。

iDeCoが伸びにくい3つの詰まり

iDeCoの手続きと資金拘束と商品選択を分けるイメージ
iDeCoでは、入口の手続き、資金拘束、商品選択の詰まりが残りやすい。

iDeCoがNISAほど広がりにくい理由は、税制メリットが弱いからだけではありません。金融庁レポートは、制度の効率化・シンプル化、運営管理機関や記録関連運営管理機関のコスト構造、加入者の商品選択サポートを課題として取り上げています。

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詰まりNISAで起きにくい理由iDeCoで見えやすい理由
入口の手続き証券口座の延長で開けることが多い勤務先制度や掛金区分が絡む
お金の自由度売却や出金の自由度が高い老後資金として引き出しが制限される
商品選択投信・株式など選択肢が広い金融機関ごとのラインナップ差がある
継続サポートアプリや口座画面で接点を作りやすい企業型DCと違い、事業主経由の接点がない

接点の少なさが放置を生みやすい

iDeCoは、企業型DCと違って事業主を通じた接点がありません。インターネットだけで加入受付をするケースもあり、加入後の説明やフォローが届きにくい面があります。

金融庁レポートでは、加入者サイト未ログイン、掛金配分の未登録、目標利回り未達など、個々人の状況に応じた情報提供が改善例として挙げられています。これは逆に言えば、加入後に放置されやすい制度だということでもあります。

元本確保型だけの運用はどこで誤解されるか

元本確保型商品だけで長期運用するリスクを示すイメージ
元本確保型だけで止まると、物価上昇下では実質価値の目減りに気づきにくい。

読み違えやすい点
iDeCoで元本確保型商品を選ぶこと自体が悪いわけではありません。問題は、老後資金として長期間置くお金なのに、物価上昇を下回る利率の商品だけで止まり、実質的な価値の目減りに気づきにくいことです。

金融庁レポートは、20%前後の加入者が元本確保型商品のみで運用しているとし、物価上昇率を下回る金利・利率で長期運用する場合、実質的な資産価値が目減りし続けると説明しています。

ケース1:安全と思って選んだまま放置

最初に「損をしたくない」と考えて元本確保型を選び、その後ログインしないケースです。短期の値動きを避ける効果はありますが、物価上昇と手数料を考えると、長期での実質価値は別問題になります。

ケース2:商品ラインナップが古いまま

金融庁レポートは、iDeCoの商品選定・入替について、年1回の委員会で運用状況を見るだけで具体的な入替をしていなかった例や、既存加入者にとってラインナップの魅力が低下した可能性にも触れています。加入者側からは見えにくい部分ですが、金融機関選びや商品変更のしやすさに関わります。

ケース3:掛金だけ増やして配分を見ない

2026年12月の制度改正で拠出限度額が広がる予定です。ただ、上限が増えることと、自分に合う配分が決まることは別です。掛金を増やしても、配分が未登録だったり、元本確保型だけだったりすれば、制度の使い方としては中途半端に残ります。

2026年12月改正で変わるのは入口と上限

厚生労働省は、2026年12月1日施行予定として、iDeCo・企業型DC・国民年金基金の拠出限度額引き上げを案内しています。第2号加入者のiDeCoは、勤務先の企業年金の有無による差を解消し、企業年金と共通の拠出限度額に一本化したうえで、月額6.2万円へ引き上げる方向です。第1号加入者のiDeCoと国民年金基金との共通限度額は、月額7.5万円へ引き上げられます。

上限拡大は「使い切る合図」ではない

上限が増えると、節税メリットに目が向きやすくなります。ただし、iDeCoは原則として老後資金の制度です。生活防衛資金、NISAで使う資金、教育費や住宅資金など、途中で使う可能性があるお金まで入れると、あとで資金繰りが苦しくなることがあります。

上限拡大後に見る順番は、次の方が自然です。

  • 途中で使う予定のない老後資金か
  • 所得控除の効果を自分の税率で見ているか
  • 元本確保型だけで止まっていないか
  • 金融機関の手数料と商品ラインナップを比べたか
  • NISAとの役割分担ができているか

NISA利用者とiDeCo利用者で分ける次の行動

NISAをすでに使っている人は、iDeCoを「もう一つの非課税枠」とだけ見ない方がよいです。途中で使えるお金はNISA、老後まで動かさないお金はiDeCoというように、資金の時間軸を分けます。

iDeCoをすでに使っている人は、掛金額より先に配分とログイン状況を見ます。元本確保型だけで止まっていないか、商品ラインナップが古くないか、手数料を含めて長期で持てる内容かを点検します。

これから始める人は、税制メリットだけで急がず、勤務先の企業年金、NISAの利用状況、老後資金として動かせない期間を分けて考えるのが先です。400万対2800万の差は、iDeCoが不要という意味ではありません。むしろ、使い方を間違えやすい制度だからこそ、手続きと運用商品の両方を見る必要があるというサインです。

本稿は特定の金融商品や制度利用を勧めるものではありません。制度の利用可否や税務上の扱いは、最新の公的情報と各金融機関の案内を確認してください。

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出典・参考リンク

💡 どちらを優先すべき?タイプ別・判断フロー

  1. 所得税・住民税の節税効果を今すぐ実感したい会社員・公務員iDeCoを優先
  2. 住宅購入・教育資金・急な出費に備えて柔軟に資金を動かしたい層NISAを優先
  3. 元本割れを防ぎたい慎重派iDeCoの元本確保型(定期預金型)を活用

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